まだ見ぬ世界のどこかからあなたの元にやって来た、ユニークだけどエレガントさのある不思議なアイテム――。
黒澤正和さんが手がけるブランド「ALPHAVILLE(アルファヴィル)」は、独特な世界観を軸に帽子を作っています。
幼いころより物作りに触れ、長年培ってきた感性とアイデアから黒澤さんが生み出す、他にはない作品たち。
ケア帽子として使っても、きっとあなたをALPHAVILLEの世界に誘います。
「架空都市」からやって来た!?
京都を拠点として帽子を専門的にデザイン、販売する黒澤さん。
「アルファヴィル」というブランド名はフランス語で「架空の都市」を表します。
「とある街で生まれたもの、そこで生活している人々が身につけているものを作るのが基本のコンセプトです。その街から輸入されている、というようなイメージです」。
「カジュアルやエレガントなど、様々なバリエーションをデザインしていますが、全体として『アルファヴィルの街から来たもの』という統一したイメージを意識しています」。
歴史は30年以上
架空都市アルファヴィルのコンセプトを使い始めたのは、約30年前、芸術大学のアパレル科で学んでいたときから。
「街の人々が着ている服」をデザインしたり、「街に住む画家が描いた絵」を描いたりと、アルファヴィルの歴史は刻まれていきました。
少年時代から物作りが大好き
京都に生まれ育った黒澤さんは、父親が染工場、母親が洋品店を営んでいたため、幼いころから生地やミシンが身近な存在。
初めて裁縫をした記憶は、小学3年のとき、人形に着せる柔道着を作ったことでした。
「端切れとミシンを使って見よう見まねで…。身近に道具や素材があったので自然とやっていました」。
布製品にかかわらず、大きな段ボールを使って飛行機を工作するなど、少年時代から物作りが大好きだったと言います。
大学で服飾を専門に学び、卒業後はテキスタイルや服のデザインにも携わり、2013年ごろから現在のアルファヴィルの形で帽子を扱うようになりました。
展示会のテーマに合わせて作られた紙製の帽子は、少年時代の物作りを思い起こさせるような作品です。
さらに、別の年に開催された展示会では、そのときのテーマに合わせて写真集を作ったことも。
黒澤さんの世界観は、実用的なデザインにとどまらず、どんどんと広がっていきます。
生活すべてが発想のもと
どこか懐かしく、でも他では見たことのない、新しさのある少し不思議な色や形、生地。
そんなアルファヴィルのデザインはどんなところから生まれてくるのか?
「生活の中で、映画や音楽、道を歩いているときの光景、植物の形、車の形とか様々な物から入ってきます」と黒澤さん。
「たとえば、『お米』や『丸餅』など食べ物からイメージを膨らませることもあれば、『太陽系』とかもあります」。
誰もが目にしている食べ物から、壮大な宇宙まで。デザインの元は想像以上に幅広く、意識してイメージしようとするよりは「自然と入ってくる」のだそうです。
とっておきの「ネタ帳」
そんな様々なイメージをストックしておくのが、黒澤さんの「ネタ帳」です。
「小説家やお笑い芸人の方が書きためているようなイメージで、学生のころからずっと続けています」。
スクラップ帳のほか、ノートには、自身で思いついた言葉やイメージを書き留めてあります。
日々の生活の積み重ねから生まれるデザイン。最新のデザインのイメージは?と尋ねてみたところ、「それは言えないですね」とにやりと笑って返されてしまいました。
商品化には家族3世代のアドバイスも
レディースの帽子を中心に、男性も着用できるユニセックスの商品も展開するアルファヴィル。
特にレディースの商品では、同居している母、妻、娘の3世代からアドバイスをもらうことが多いそうです。
「実際にかぶってもらい、少し物足りないと言われてデザインを足したりします」と、アドバイスを積極的に取り入れている黒澤さん。
「家族が『自分もほしい』と言ってくれた商品は売れ行きも良いです。あと、娘の評価が一番厳しいです」と笑います。
ケア帽子として、今までにないテイストを
これまでもアルファヴィルのお客様で、ケア帽子として商品を手に取ってくださる方は多くいらっしゃったそうです。
「他のケア帽子にはないデザイン性を求めて購入される方も多いです。特にワッチは他ではカジュアルなものが多く、上品さを出せるものはめずらしいのかもしれません」と、アルファヴィルの強みを語ります。
「お客様には、気分が少しでも上がって、明るくなっていただけたらありがたいです」。
「ALPHAVILLE」の街の不思議な空気を,、帽子として身につけて出かけたくなる。そんな黒澤さんの世界観です。
今回ご紹介した「ALPHAVILLE」の商品はこちらから